ZOZOTOWNが”送料無料”から”送料自由”になった理由

10月1日から衣料品ネットショップ・ZOZOTOWNの送料が送料無料から送料”自由”になりました。

送料自由とは、送料をユーザーが自由に設定してもよい、というものです。
(実際には0円から3000円の範囲で)

引用: 【送料自由】送料はお客様が自由にお決めください (http://zozo.jp/soryo/)
(笑いどころは、URLがshippingでもcarriageでもなく、soryoというところ。)

ネットショップ業界で送料自由というのは、業界初とのこと。
なお、この送料自由という取り組みは試験的であり、予告なく終了する可能性もあるとのこと。

 

なぜ送料自由になったのか

ZOZOTOWNの運営元のスタディトゥデイの代表取締役の前澤さんのツイートによれば、

表向きは、運ぶ人と受取る人に気持ちの交換が生まれれば、という建前だそうです。

しかし考えてみれば、ZOZOTOWNで購入したものはZOZOTOWNが依頼した配送業者に、一定の配送料を支払って配達しているわけですから、運ぶ人と受け取る人に気持ちの交換は生まれようがありません。片思いです。

“送料自由”も1私企業が実施するシステムですから、当然収益を増やすために実施されていると考えるのが自然です。元々は送料無料ですから、送料自由にして送料を払うというオプションを追加することは増収につながるに決まっています。(しかもこういう形でバズるわけですから、広告にもなります。)

しかし、そこで代表が「増収したいのでオプションを追加しました。」と言うと、ZOZOTOWNの心象が悪くなりますね。日本の不思議な商習慣ですが仕方がありません。そこで「気持ちの交換」という不思議なワードを使うのも仕方のないことです。

 

送料を払う人なんているの?

送料が自由に設定できるなら無料にするに決まってるじゃん!と考えたあなたは生活と発想が貧困です。かわいそうに。

 

そんなあなたに捧げる概念が、

リバタリアンパターナリズム。

リバタリアン(個人の行動選択の自由を重んじる思想の人)のパターナリズム((概念上の)親によって行動を誘導したりこづいたり干渉したり介入すること)。

簡単に言うと、個人の自由を侵さない程度に選択を誘導することです。
日本語では“緩やかな介入”などと言ったりします。

 

では、リバタリアンパターナリズムが”送料自由”と何の関係があるのでしょうか。

それは、「デフォルトオプションの罠」

“送料自由”ですが、ZOZOTOWNの決済ページを見てみると、

デフォルトオプションは400円です。
「※特にご指定がない場合は初期設定の400円となります。」と書いてある。

また、ドロップダウンしてみると、

百円刻みでこれだけオプションがでてくる。
例えば111円とか選びたい場合はテキストボックスに自分で入力することができる。

 

 

どうしてこんなにめんどくさい仕様なのでしょうか。

完全に”自由”に送料を設定させるなら、
テキストボックスを用意して、「送料を入力してください」でいいはずです。

 

なぜなら人は、選択肢が多すぎるとめんどくさくてデフォルトのままにしてしまうからです。

「昔アウディのWebサイト上でエンジンやライトなどパーツを自由にカスタマイズできるようにしていました。最初は初期設定は空欄ですべてユーザーに選択させるようにしていましたが、途中で初期設定を高いパーツに変更した所、高いパーツ車をつけた車を注文する人が増えた」とあの行動経済学の顕学のダン・アリエリーさんの本に書いてあります。

したがって、ZOZOTOWNとしては、ユーザーが決済時に「わざわざ変更するの面倒だし400円ぐらいならいいや」と追加的に400円払う人が現れるのを狙っているわけです。

または、400円はおとり選択肢で、「送料は400円」というふうにアンカリングしておいて、100円や200円を選択させる腹じゃないでしょうか。

 

おとり効果とは・・・

選ばれない選択肢を意図的に紛れ込ませることで、選択行動を変える効果。
たとえば、
「A定食800円、B定食1,000円」というオプションを、
「A定食800円、B定食1,000円、C定食1500円」とすると、
B定食の注文数がふえる、というもの。

 

アンカリングとは・・・

最初に見たものを判断の基準にしてしまうこと。
たとえば、チラシで「本来500円の商品を特別に100円で提供!」と書かれていると、商品と100円を比べずに、500円と100円を比べて、商品を安いと感じてしまう。みたいなこと。

 

 

結局、”運ぶ人と受け取る人の気持ちの交換”は達成されるか

“送料自由”は運ぶ人と受け取る人の気持の交換が建前のようですが、
これは成功するでしょうか。

僕は失敗すると思います。

今までは送料無料だったので、多少配送が遅かったり、箱が潰れていたりしても、
「まあ無料配送だし仕方ないか」
と特に目くじらを立てることがなかったのに、
送料を支払わせることで考え方がシフトして、
「送料払っているのに、遅い!雑!」
となる可能性が高いと思います。

そういう負の効果も産んでしまうと思います。
モラルハザードってやつですね。

 

具体的にはZOZOTOWNへのクレームが増えるんじゃないでしょうか。

 

かといって手数料という名目にしたら微妙だし、
やっぱり送料自由というシステムは絶妙だなあと思います。

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